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所得税の速算表にある「課税される所得金額」とは何か

投稿日:2018-12-04 更新日:




所得税の計算を簡単にしてくれる、とっても便利な速算表

しかも計算方法は「課税される所得金額」に表どおりの税率をかけて控除額を差し引くという、とてもシンプルなものです。

が、しかし…

ん?「課税される所得金額」とは何?

この疑問をもたれた方は正解だと思います。

言うまでもなく、ここにあてはめる金額を間違えたら、速算表の意味は全くありません。

それにも関わらず、この説明はスルー。

「便利な計算式は考えたから、あとは自分で責任もって使ってね♪」というわけです。

そこで今回は、この「課税される所得金額」の計算方法について解説します。




所得税の速算表

まず、所得税の速算表はこちらです。

国税庁HPより

所得の課税方法に注目しよう

まず、所得税の課税方法には

・総合課税

・申告分離課税

・源泉分離課税

があり、このうち所得税の速算表で税金を計算できるものは

・総合課税の各所得の合計

・申告分離課税の退職所得

・申告分離課税の山林所得

の3つです。

総合課税と申告分離課税の違い

私たちが日常生活で得る収入の多くは、1番上の「総合課税」に該当します。

総合課税とは給与所得や雑所得など、対象となる所得を合算して、所得控除を差し引き、速算表にあてはめる課税方法です。

下2つの「退職所得」と「山林所得」は「申告分離課税」といって、他の所得と合算せずに分離して、単独で速算表にあてはめて計算します。

総合課税と申告分離課税を図にするとこんな感じです。

では、それぞれ速算表にあてはめる「課税される所得金額」の具体的な計算方法を見ていきましょう。




総合課税の「課税される所得金額」

総合課税の「課税される所得金額」とは、「総合課税の所得金額の合計」から「所得控除」を差し引いた後の金額になります。

総合課税の所得金額とは、給与所得、事業所得、不動所得、譲渡所得の一部、一時所得、雑所得など、私たちが日常生活で受け取る所得の多くが該当します。

例えばサラリーマンや公務員、パート、アルバイトの方などが勤務先から受け取った給与は、全て総合課税(給与所得)です。

賃貸物件のオーナーが得た賃貸料についても、総合課税(不動産所得)になります。

個人事業主の事業所得も、原則的には総合課税です。

計算例

<Aさんの所得の金額>

・給与所得 400万円

・不動産所得 50万円

・雑所得 50万円

<Aさんの所得控除の金額>

・社会保険料控除 60万円

・配偶者控除 38万円

・基礎控除 38万円

この場合、Aさんの合計所得金額は500万円(400万円+50万円+50万円)、所得控除額は136万円(60万円+38万円+38万円)です。

したがって、「課税される所得金額」500万円-136万円=364万円になります。

速算表に当てはめると、その所得税額は、364万円✕20%-42万7,500円=30万500円です。




退職所得の「課税される所得金額」

退職所得の「課税される金額」の計算式は、(退職金の額-退職所得控除額)✕1/2です。

他の所得とは合算せずに、この金額だけで速算表から税金を計算します。

総合課税と分離することにより、税率の低い部分で課税を済ませることができます。

退職所得控除額とは

退職所得は、退職金の総額から「退職所得控除額」を差し引いた額に税率をかけて計算します。

退職所得控除額とは、勤続年数✕40万円で計算され、さらに勤続年数が20年を超える場合は、その超えた年数分は70万円にアップします。

具体的に言うと、勤続25年の退職所得控除額は(40万円✕20年)+70万円✕(25年-20年)=1,150万円になります。つまり勤続25年で受け取る退職金は、1,150万円まで非課税で受け取ることができるというわけです。さらにそれを超えた分は、2分の1しか課税されません。

老後の生活保障として、他の所得より少ない税金で受け取れるよう配慮されています。

計算例

<Bさんの退職金>

・退職金 3,000万円

・勤続年数 30年3ヶ月

・勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している

計算式

退職所得控除額

(40万円✕20万円)+70万円✕(31年※-20年)=1,570万円

※勤続年数に1年未満の端数がある時は切り上げで1年にカウントします。

課税される所得金額

(3,000万円-1,570万円)✕1/2=715万円

所得税額

715万円✕23%-63万6,000円=100万8,500円

ちなみに、計算例に「退職所得の受給に関する申告書」という要件をコッソリ加えているのですが、これは退職金を受け取った人が職場に提出する書類です。

内容は「他に退職所得をもらったことがあるかどうか」を伝えるものになります。

退職所得控除額は、他からの退職金など退職所得に該当するものを受けている場合、勤続年数の計算が変わるため、事前に確認しておかなければならないのです。

この書類を提出すれば、正しく源泉徴収(職場が税金を天引きして納付してくれること)が行われるため、通常は確定申告をする必要はありません。

もしこの書類を提出しなかった場合は、退職所得控除額は計算できないため差し引かれません。

2分の1もしません。

退職金の全額に、一律20.42%をかけて源泉徴収をします。

ちゃんと計算すれば、ほとんどのケースで20.42%も税金はかからないと思いますので、その時は確定申告で源泉徴収税額と実際の税額との差額を取り返しましょう。




山林所得の「課税される所得金額」

山林所得とは5年を超えて保有する山林の伐採や譲渡によって得た所得のことです。

退職所得と同じく、他の所得とは合算せずに課税されます。

山林所得の計算方法は、収入-経費-特別控除額(50万円)です。

特徴的なのは、その次の所得税の計算方法になります。

山林所得の所得税の計算方法は、(山林所得÷5)✕税率✕5です。

まず山林所得を5分の1でいったん所得税を計算し、その5倍を納付する(五分五乗)というややこしい方法で税金を計算します。

5にどんな理由があったのでしょうか(´・ω・`)

この計算式のとおり、山林所得で速算表にあてはめる「課税される金額」は、(山林所得÷5)です。

計算例

<Cさんの山林所得>

・5年超えで保有する山林を、300万円(取得費100万円)で譲渡した

計算式

・山林所得

300万円-100万円-50万円=150万円

・山林所得の所得税額

(150万円÷5)✕5%✕5=7万5,000円




所得税の速算表にある「課税される所得金額」を解説 まとめ

今回は、所得税の速算表にある「課税される所得金額」を、総合所得、退職所得、山林所得でそれぞれ解説しました。

ここまでくれば、もうどんな所得税でも計算できるぜ!と言いたいのですが、実は、所得税の速算表では計算できない所得もあるのです。

次回は、速算表シリーズ涙の最終回をお送りします∠(`・ω・´)

所得税の速算表では対応できない「不動産の売却」と「株式の売却・配当金」の課税について







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