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所得税の速算表では対応できない「不動産の売却」と「株式の売却・配当金」の課税について

投稿日:2018-12-10 更新日:




所得税の速算表は万能ではなく、速算表を使って税金を計算することができない所得があります。

図にするとこんな感じです。

今回の話は、一番右側の赤い「?」の所得になります。

代表的なケースは、不動産売却株の売却・配当金です。




速算表で計算できない税金とは

所得税の課税方法には

・総合課税

・申告分離課税

・源泉分離課税

の3つがあり、このうち所得税の速算表で税金を計算できるものは

・総合課税の課税所得金額

・申告分離課税の退職所得

・申告分離課税の山林所得

の3つでした。

それぞれの説明はこちらです。

所得税の速算表にある「課税される所得金額」とは何か

一方、速算表で税金を計算できない所得には

・申告分離課税の所得(退職所得・山林所得以外)

・源泉分離課税の所得

があります。

具体的には、

不動産の売却による所得

・株式の売却、配当金による所得

・預貯金や公社債等の利子による所得

・先物取引による所得

などです。

これらは、独自の税率で計算されることになります。




不動産の売却による所得

物品を売却した所得は「譲渡所得」として所得税がかかります。

そのうち申告分離課税になるのは、不動産と株式の売却にかかる譲渡所得です。

ここでは不動産の売却について解説します。

動産と不動産で変わる譲渡所得

「動産」にかかる譲渡所得は、総合課税の所得になります。

したがってその税額は単独では計算されず、給与所得や事業所得など、他の所得と合算して速算表に当てはめて計算されます。

一方、土地や建物など「不動産」にかかる譲渡所得は、全て申告分離課税です。

その税額は、不動産にかかる譲渡所得だけで計算することとなり、税率は、その不動産を譲渡した年の1月1日時点における所有年数でかわります。

1月1日の所有期間が5年以下…所得税率30%

・1月1日の所有期間が5年超え…所得税率15%

ちなみに総合課税に「不動産所得」がありますが、こちらは不動産を「賃貸」した時の所得です。

不動産の譲渡所得はあまり発生しない?

日常生活で、不動産の譲渡所得が発生する事例はあまりないと考えられます。

私たちが人生で所有する不動産といえば、マイホームのみというケースが多いと考えられ、マイホームを売却する場合は「居住用財産の譲渡の特例」(通称「マイホーム特例」)と呼ばれる税制を使うことができるからです。

この税制を適用すれば、家屋&土地のセット売却に対する譲渡所得が、3,000万円まで非課税になります。

また、家屋などの建物については「減価償却費」(経年劣化を経費にするもの)を取得費に算入できるため、家屋から売却益がでることはレアケースです。

ただし土地については減価償却ができず、さらに地価の変動によって価格が上下するため、土地計画など後発要因によって売却益がでることがあります。

地価の変動は、公示価格や路線価を見ることで見当をつけることができるので、売却する前に参考にするとよいでしょう。




株式の売却や配当金による所得

株式の売却にかかる所得は「譲渡所得」、配当については「配当所得」になります。

その課税方法は、申告分離課税のほか、証券口座の設定から「源泉分離課税」を選択してもよく、さらに配当所得については「総合課税」を選択することもできます。

申告分離課税の株式の譲渡・配当にかかる税率

株式の譲渡にかかる税金は、株式の売却収入から取得費を差し引いた金額に対して税率をかけて計算します。

配当金は通常そのまま税率をかけますが、もし借入金で購入した株式から得た配当の場合、その借入金の利子だけを税率をかける前の配当金から控除することができます。

株式の譲渡・配当を源泉分離課税にすると…

上場株式の譲渡所得、配当所得は、必ずしも申告分離課税になるわけではなく、証券口座を「源泉徴収ありの特定口座」にすることで、「源泉分離課税(=申告不要)」を選択することができます。

源泉分離課税の場合、上場株式の譲渡所得、上場株式の配当所得から、所得税15%(天引き額は20.315%…復興特別所得税0.315%、住民税5%が加算)が源泉徴収され、口座に振り込まれます。

申告不要なので確定申告の手間がなく楽なのですが、あえて確定申告することで、損益通算ができる範囲を広げることが可能です。

株の売却で損失が出た時に検討するとよいでしょう。

ちなみに、非上場株式では配当所得のみ源泉分離課税となり、所得税20%(天引き額は20.42%…復興特別所得税0.42%、住民税なし)が源泉徴収されます。

株式の配当を総合課税にすると…

配当所得は、上場・非上場株式ともに「総合課税」を選択することが可能です。

総合課税にすると、所得が高い部分ほど税負担が重くなってしまいますが、一方で、配当所得の最大10%にあたる税額控除(配当控除)を受けることができます。

このことから所得が一定以下の人は、総合課税による所得税の増加額よりも、配当控除による節税額の方が大きくなり、あえて総合課税にした方が節税できるというメリットがあります。




預貯金や公社債等の利子による所得

預貯金や公社債等の利子は、利子所得になります。

文字どおり銀行などから受け取った利息にかかる税金で、源泉分離課税となり所得税15%(天引き額は20.315%…復興特別所得税0.315%、住民税5%が加算)が控除されます。

国内の銀行では確定申告の必要はありませんが、もし外国の銀行などに口座を開設し、そこで受け取った利子については、日本の所得税がかかっていないため申告の対象になります。




先物取引による所得

先物取引による所得は、「雑所得」になります。

雑所得は総合課税というイメージがありますが、この先物取引にかかるものだけは、申告分離課税になるため注意が必要です。

所得税率は15%になります。

ちなみに、もし先物取引を事業として行っていたとしても、総合課税にはできません。




所得税の速算表では対応できない「不動産の売却」と「株式の売却・配当金」の課税について まとめ

速算表で対応できない所得として、

・申告分離課税の所得(退職所得・山林所得以外)

・源泉分離課税の所得

について解説しました。

株式の譲渡についてはどちらも適用され、配当については総合課税も適用されるため、かなりややこしい話だったと思います。

しかしながら、申告分離課税・源泉分離課税の所得税率だけをみると

・基本的に15%

・不動産の譲渡所得(5年以下)のみ30%

というシンプルな設定であることがわかります。







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