離婚と子ども

監護者を選定するメリットと注意点

投稿日:2018-06-30 更新日:




 

親権者と監護権を分けることには、親、子どもにそれぞれメリットがあると考えられます。

それぞれのメリットについて見ていきましょう。

監護者の制度についてお調べの方は、まずはこちらをご覧ください^^

親権と監護権の違い




親のメリット

父親も親権者に

親権者の数は、圧倒的に母親の方が上です。

厚生労働省の人口動態によると、平成28年の離婚のうち、未成年の子がいる離婚のうち母親が子ども全員の親権者となるケースは、父の約10倍にも上ります。

調停や審判でも、子どもが乳児である場合や、それまで母親が身の回りの世話をしてきた状況がある場合は、母親を親権者とする傾向が強いようです。

父親が親権者となるには、子どもの世話ができるかが大きなポイントになります。

世話ができない場合、祖父母を監護補助者とすることもありますが、母親を監護者として父親が親権者となることも可能です。

両親の協議が調えば、子どもが小さい間だけ母親を監護者とすることもできます。

養育費の滞納防止に

厚生労働省の全国ひとり親世帯等調査によると、平成28年度の母子家庭における養育費の取り決めと受け取り状況は下記のようになっています。

母子世帯となってからの年数 回答世帯数 養育費の取り決めをしている世帯数 現在も養育費を受けている世帯数
4年以上 1,148 463 217
2~4年未満 236 111 88
0~2年未満 298 158 120

参照:平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告

養育費の取り決めをしている世帯数は、どの世帯も概ね回答数の半分です。

これに対し、現在養育費を受けていると回答した世帯は、母子世帯となってからの年数が0~2年未満で回答世帯数の約40%、2~4年未満で約37%、4年以上では約18.9%です。

このデータから言えることは、養育費の取り決めをしても、現在受給できている世帯はそれより少ないということです。

養育費が支払われなくなる理由は様々ですが、共通する背景は、不払いに対する罰則がないことでしょう。

罰則がなければ感情の行き違いや生活の変化で、支払う気持ちを失くすことが考えられます。

そこで、あえて親権者と監護者を分けることを選択する方法があります。

これは、相手を親権者とすることで、無責任な養育費滞納を防止することが狙いです。

もちろん親権者となっても、養育費の不払いに罰則がないことは変わりません。

しかし、あえて子どもの生育に関し最も責任のある役割を与えることで、養育費の不払いが心理的に起こりにくくなることが期待できるのです。

 




子どものメリット

親権争いの長期化を避ける

お互いが親権を譲らず争いになった場合、離婚手続きは、調停や審判に移行します。

調停離婚にかかる期間は概ね半年、審判になれば1年以上かかると言われ、仕事や日常生活に大きな影響を及ぼします。

そのような状況で、最も配慮しなければならないのは子どもの心情です。

子どもは、まず両親が離婚することから受け容れなければなりません。

それだけでも大変なことなのに、両親が自分を巡って争いを続ければ、さらに負担を感じることでしょう。

もちろん子どもの親権者を決めることは、子どもの生活を考える上でとても大切なことです。

しかし、時と場合によっては、争いを続けることの必要性を冷静に判断する必要があります。

そこで争いを始める前に考えたいのが、お互いが親権を欲する理由です。

一般的には子どもと一緒に暮らしたいという理由だと思いますが、中には子どもとの繋がりを失いたくないため親権が欲しいという場合が考えられます。

たとえば「朝から晩まで仕事があるから面倒は見れないけれど、大事な局面には保護者として意見を示したい」といった具合です。

もし一方が子どもと暮らしたい、もう一方が単に親権が欲しいという場合であれば、親権者と監護者を分けるという選択をすることで、事態を早く収束させられる可能性があります。

 

両親と繋がる安心感がある

親権者と監護者を分けた場合、生活を共にするのは監護者ですが、保護者として法律行為を代行するのは親権者です。

したがって、大事なことは親権者に相談することとなり、子どもが自然に両親と関わる機会をもつことができます。

これは、子どもにとって両親と繋がる安心感を得られるメリットです。

子どもからすれば、これまで2人から守られてきた状況が離婚で失われています。

離れた親がもう親ではなくなると感じることが、最も不安で寂しいことでしょう。

しかし離れた親が親権者であれば、子どもが未成年の間は、大事な局面で必ず関わることができます。

離れても親であることに変わりないと感じることで、子どもの不安を幾分か和らげることでしょう。

 




監護者を選定する注意点

監護者には法定代理権がありません。

したがって、保護者の同意を得る書面などは、親権者に署名や押印を求めなければならないという手間が発生します。

また、親権と監護権を分離することは、全ての子どもに良いとは言えません。

子どもは、大人が考える以上に人間関係を理解しており、離婚には複雑な感情を抱いていることが多いようです。

子どもが、親権者に会えることを楽しみにしている場合は良いのですが、逆に嫌悪感を抱いていることも少なくありません。

そうなると、いつまでも両親が関わることを煩わしく感じたり、大人の都合に振り回されてると受け取ってしまうこともあるでしょう。




最終的には子どものため

相手から突然「親権が欲しいから監護権者になって欲しい」と申し込まれて「はい、わかりました」と納得する親はいないでしょう。

相手が親権者にふさわしくない場合もあるでしょうし、納得できなければ断るしかありません。

しかし、そうでなければ、検討してみる価値はあります。

大事なのは親権を勝ち取ることではなく、子どもにとってより良い環境を作ることにあるはずです。

早く事態を収束させ、子どものために新しい生活を始めたいという気持ちがあるのなら、監護者という選択も良いのではないでしょうか。

それから、親権を譲ってもらおうとする側は、監護者となってもらうという提案が、相手を深く傷付ける可能性があることを肝に銘じる必要があります。

「面倒はみれないけれど親権は欲しい」と提案しているのですから、相手からすれば身勝手で腹立たしい話に過ぎません。

本気で相手からの理解を得るつもりであれば、養育費の支払いや監護者への積極的なサポートを誓約するなどの配慮を行うことが求められるでしょう。

監護者という選択がどういう経緯で成立するかは、千差万別です。

しかし、どのケースにおいても

・相手の心情を思いやった上で行わなければならないこと

・最終的には子どものためという点で双方が合意できること

がポイントになります。

離婚してもやっていける人の5つの条件







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