離婚と相続

元配偶者の生命保険金に注意!離婚で気をつける相続税 

投稿日:2018-07-04 更新日:




離婚した元配偶者が受け取った生命保険金が、相続税を上げてしまう可能性があります。

今回は、相続における元配偶者の生命保険金の注意点とその解決策のご紹介です。




生命保険はみなし相続財産

相続とは、故人から遺族へ財産を承継することです。

一方、生命保険金は、故人からではなく生命保険会社から遺族に支払われます。

そのため、生命保険金は民法で定められる本来の相続財産には該当しません。

しかしながら、生命保険金は故人が生命保険料を支払うことにより築いた、財産の一種です。

そこで税法では、生命保険金を「みなし相続財産」として、一定の要件のもと相続税の課税対象とすることが定められています。

みなし相続財産には、生命保険金のほか、死亡時に勤めていた会社から支払われる退職金などが該当します。




課税される生命保険金とは

生命保険金に相続税が課税されるポイントは下記の2つです。

・生命保険金の総額が非課税金額を超えていること

・保険料を被相続人が負担していること

課税ポイント①生命保険金の総額が非課税金額を超えていること

生命保険金は、遺族の生活保障のためのお金です。

生活費にまで課税してしまうことは相続税の本旨から外れてしまいます。

そこで、生命保険金額のうち、500万円✕法定相続人の数までは、相続税は課税を課税しない、つまり非課税とするという決まりがあるのです。

具体例で見てみましょう。

<具体例>

・法定相続人 配偶者と子の計2人

・受け取った生命保険金は、各人とも750万円ずつ

受け取った生命保険金の総額は1,500万円でそのうち非課税金額は、500万円✕2人=1,000万円です。

したがって、1,500万円-1,000万円=500万円が課税対象となります。

もう少し細かく説明すると、この非課税金額は、相続権のある人それぞれに割り当てられます。

つまり、配偶者、子が受け取った750万円から、それぞれ500万円ずつが減額され、配偶者、子が受け取った250万円ずつの合わせて500万円が課税の対象となるのです。

この「相続権のある人に割り当てられる」という点が、今回とても重要なポイントになります。

もし非課税額を超えるとどうなる?

仮に生命保険金が非課税金額を超えたとしても、超えた部分は本来の相続財産等と合算され、この合算金額から基礎控除額(3,000万円+600万円✕法定相続人の数)が差し引かれます。

相続税は基礎控除額を超えなければ課税されないため、生命保険金が非課税金額を超えたからと言って直ちに課税されるわけではありません。

課税ポイント②保険料を被相続人が負担していること

相続財産となるためには、保険料を故人つまり被相続人が負担していることが条件となります。

もし配偶者と半分ずつ保険料を負担している場合、仮に契約者が片方の名義であっても、受け取った保険金の半分しかみなし相続財産となりません。

残りの半分は、もう片方の配偶者から子などの受取人への贈与(生存している者からの財産の移転)となり、贈与税の課税対象となります。

贈与税に注意

相続税であれば、非課税金額は法定相続人の数✕500万円です。

ところがこれが贈与税となれば、非課税となるのは基礎控除額である110万円しかありません。

つまり贈与税として課税されると、非課税金額が非常に少額となるのです。

生命保険金は、保険料の負担者によって税金の種類と非課税額が変わる点に注意しましょう。

 




離婚後の生命保険契約の注意点

さて、婚姻中に配偶者を受取人とした生命保険(保険料は全額契約者が負担)に加入し、万が一亡くなったとしましょう。

これまでの説明のとおり、遺された配偶者に支払われる生命保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となり、500万円✕法定相続人の数までが非課税金額となります。

元配偶者の生命保険契約はどうなる?

さて、注意したいのが元配偶者を受取人とする生命保険契約です。

もし、離婚して子どもを引き取った配偶者に対し、生命保険の受取人をこの元配偶者のままにして加入し続けた場合どうでしょうか。

生命保険会社は保険の請求があれば、元配偶者であっても保険の支払いを行います。

問題は、この時の相続税です。

生命保険金の非課税額は、500万円✕法定相続人の数で決定します。

この法定相続人の数に元配偶者の数は含めません。

それだけならまだしも、そもそも元配偶者には、この非課税額の適用がありません。

具体例で見てみましょう。

<具体例>

・登場人物

現配偶者、現配偶者との子、元配偶者、元配偶者との子の計4人

・受け取った生命保険金

現配偶者500万円

現配偶者との子 500万円

元配偶者 500万円

 

法定相続人は、現配偶者、現配偶者との子、元配偶者との子の3人ですから、非課税金額は500万円✕3人=1,500万円です。

ところが、この非課税額を適用できるのは、相続権のある者に限られます。

したがって、現配偶者の500万円と現配偶者との子の500万円にしか適用できません。

元配偶者が受け取った500万円は、そのまま他の相続財産と合算されます。

相続財産に合算された後は、基礎控除額を差し引かれますが、この保険金が加わったことにより、基礎控除額を上回ることがあります。

もしあなたが生前に相続対策をして、遺産を基礎控除額以下にしていたとします。

しかしながら、元配偶者が受け取った保険金の税制度を知らなかったがために、基礎控除額にする際の判断を誤ってしまうことがあるのです。

しかもその結果、相続人全員の相続税が上がることがあります。

全員の相続税が上がることも

みなし相続財産で最も注意すべきはこの点です。

もし保険金を受け取った元配偶者だけに税金が発生するだけなら、受け取った保険金から税金を納めればよいことになります。

ところが、相続税の計算の仕組みはそうではありません。

簡単に説明すると、まず全体の財産を合計して相続税の総額を計算し、その総額を、実際に相続財産を得た人全員で分担するという仕組みです。

つまり相続財産が増えれば、全員の税負担が大きくなります。

受け取る生命保険金が、基礎控除額を大きく下回るような少額であれば気にする必要はありません。

しかし、保険金額が2,000万円くらいになると、他の相続財産と合算して基礎控除額を超える可能性が出てくるのです。

また、現在の相続税率は、法定相続人ごとの法定相続分に応じて10%から最大55%まで上がる仕組みです。

したがって、高額な保険金額を元配偶者が相続すると、この適用税率が上がることもあり、全体の相続税額が大きく上昇する可能性も出てきます。

相続税の計算手順をもう少し詳しく知りたい場合は、下記の流れを参照して下さい。

・全ての相続財産を合計する

(ここで、生命保険金の課税対象が合算される)

・基礎控除額を差し引く

・残額を各法定相続人の法定相続分で一旦分ける

・各法定相続分に応じて各法定相続人の相続税額を計算する

・各法定相続人の相続税額を合計する

・上記の相続税額合計を実際に相続する人の相続分に応じて按分する

・実際の相続人の控除や加算を行う

(配偶者の税額軽減、未成年者控除等)

・実際の相続人の納付税額が決定する




保険契約の解決策

基本的には解約

基本的には離婚時の財産分与で全ての財産の精算を終えることがおすすめです。

養育費や年金分割を除き、相手に関わる金銭契約はできるだけ解約し、残さないようにしましょう。

後のトラブル防止にもなる他、今回のような思わぬ相続税も回避できるからです。

継続するなら受取人を子どもにする

しかし、幼い子どもを相手が引き取った場合、もし自分に万が一のことがあって養育費の支払いが滞ることは、やはり心配でしょう。

ところが、もし子どもを引き取った方が、別れた配偶者と同等クラスの生命保険に新たに加入しようとした場合、保険料は高額になる可能性が高いです。

終身タイプの生命保険の場合、若いうちに加入すると月々の保険料は安いのですが、年齡を重ねて加入すると保険料は上がります。

したがって、別れた配偶者が同等クラスの生命保険に入り直すことは、簡単ではないのです。

そこでもし、契約し直すことが子どものために不利益であると、お互いが認識して話し合える状態であれば、養育費の額を調整するなどして保険を継続するという選択ができます。

そして、保険を継続することを選択した場合は、子どもを受取人に変更する手続きを行いましょう。

子どもであれば、本人が相続放棄をしない限り、非課税額の適用を受けることができます。

相手の再婚後はどうする?

子どもを引き取った相手が再婚した時点で、養育費の支払いをやめると取り決める夫婦もいます。

したがって保険を継続する場合、相手の再婚後に契約を継続するかどうかについては、後にもめないよう離婚時によく話し合っておきましょう。




離婚で気をつける相続 元配偶者の生命保険 まとめ

離婚した元配偶者が高額な生命保険金を受け取ると、相続人全員の税金が高くなることがあります

保険契約は離婚時に精算するか、継続する場合は受取人を子どもに変更しましょう。

ご不明な点があれば、どうぞご相談下さい(*´∀`*)

 







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