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離婚して子と別れた親は扶養控除を申告できる?重複した時はどうすればいい?

投稿日:2018-07-06 更新日:




離婚して子と別れた親でも扶養控除を申告できるのでしょうか。

もし別れて暮らす元夫が、あなたと暮らす子どもの扶養控除を勝手に申告した場合、税務署から扶養が重複している旨の通知(扶養是正の通知)が届き、修正を求められる場合があります。

この場合、当然に抱く疑問は「子と別居する親に扶養控除を申告する資格があるのか」ということです。

今回は、扶養控除とは何か、子と別れた親が扶養控除を申告できるかどうかについて解説します。




扶養控除とは

扶養控除とは、納税者に扶養している親族がいる場合、その年齡や続柄などから所定の金額を所得から控除できる制度です。

職場で年末調整を行う人は、毎年職場に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で職場に申請します。

自分で確定申告を行う場合には、所得控除欄の「扶養控除」に、控除額を調べて記入する必要があります。

扶養控除の対象となる親族とは

扶養控除の対象となる親族は、下記のすべての要件を満たす必要があります。

・配偶者以外の親族であること

・生計を一(いつ)にしていること

・対象となる親族の年間の合計所得金額が38万円以下であること

・事業専従者に該当しないこと

・その年の12月31日の時点で16歳以上であること

配偶者以外の親族であること

扶養控除の対象は、配偶者以外の親族です。

配偶者には、配偶者控除という別の項目があります。

親族とは、正確にいうと6親等内の血族及び3親等内の姻族のことです。

子や両親、兄弟、祖父母のほか、叔父や叔母、配偶者の親兄弟も該当します。

生計を一にしていること

生計を一にしているというのは、納税者の収入で生活している人のことです。

よく「同じ財布で生活している人」などと説明されますが、納税者が生活費を負担しているものと考えてよいでしょう。

したがって別居している親族でも、納税者が仕送りをするなどして養っている場合は、この条件に該当します。

対象となる親族の年間の合計所得金額が38万円以下であること

この要件は、対象となる親族が所得税の基礎控除を超える所得がないことを求めるものです。

アルバイトなどの給与収入の場合、年間103万円以下であればこの要件に該当します。

事業専従者に該当しないこと

こちらは自営業を行う人に関係のある項目です。

自営業者は、その事業に専従する親族に対して支払った給与であれば、所定の金額まで経費とすることが認められています。

この親族のことを事業専従者といいます。

ただし例外もあって、事業専従者が青色事業専従者の場合で、その年に給与の支払いがなかった場合は扶養控除の対象です。

その年の12月31日の時点で16歳以上であること

これはそのままの要件で、16歳未満の子どもを扶養していても、所得税の扶養控除は利用できません。

その代わり、16歳未満の子に対しては、15歳を迎える年度末まで支給される児童手当があります。




扶養控除は同居していなくても申告できる

扶養控除の要件は上記の5つが全てです。

この中に「同居していなければダメ」という内容はありません。

つまり、同居か別居かは扶養控除では関係なく、あくまで「生計を一にしている」という状況で判断されます。

では離婚で別居した親が、生計を一にしていると主張できるには、どの程度の関与が求められるのか、これについて国税庁が示した見解があります。




子と別れた親は扶養控除を申告できるか

それでは、離婚して子と別れた親は扶養控除を申告できるかどうか解説します。

まず、別居した親が養育費を支払っていない場合、これは子どもを扶養しているとは言えないため扶養控除を申告することはできません。

扶養義務を果たしていないのですから、当然のことですね。

さて問題は、離婚して子と別居した親が養育費を支払っているケースです。

この場合は「両親のいずれか1人が扶養控除を申告できる」となります。

税金の計算上では、養育費を支払う親も子を扶養していると考えるのです。

ただし、1人の子どもに対し扶養控除を重複させて申告することはできません。

したがって子に対して、父母のどちらが扶養親族として申告するかは、父母の間で調整しなければならないのです。

したがって養育費の支払いを取り決める際に、子が16歳を迎えた後にその子をどちらの扶養親族とするかまで決めておくとよいでしょう。




「養育費」以外の支払いは、扶養とは認められない

お金を払っているからといって、何でも扶養控除が認められるわけではありません。

支払っているのは養育費ではなく、本当は慰謝料の分割払いの残りかも知れませんよね。

離婚して、相手から支払いを受ける可能性があるお金には

・慰謝料(浮気、DVなど精神的な苦痛に伴う賠償金)

・婚姻費用(離婚前の別居期間中の配偶者の生活費)

・財産分与(婚姻期間中に夫婦で築いた財産の取り分)

など、養育費以外にも色々あります。

元配偶者に養育費以外のこうした費用を支払っているからといって、扶養控除まで申告するのはルール違反ということです。

国税庁の見解

国税庁の質疑応答事例によると、養育費により生計を一にしているとするには、

扶養義務の履行として

・「成人に達するまで」など一定の年齢に限って行われるものである場合

と説明されています。

この文章から、子どもの年齢に応じて支払われるなど、子どもに対するお金であると外見的にもわかることも求められていることが読み取れます。

もし扶養控除が重複して、相手が譲らずに争いとなった場合は、この点が養育費といえるかどうかの重要なポイントになってくるでしょう。

また「生計を一にする」かどうかは、同居を要件としませんが、一方で「常に生活費等の送金が行われている」という状況が求められることも、国税庁は明らかにしています。

そのため、養育費の支払いは、一時金ではなく継続的な支払いであることも大切です。

(ただし、一時金で支払った場合が全てダメというわけではなく、例えば信託契約で受託者がその一時金を分割し、継続的に子に給付するような場合は認められる余地があるようです)

養育費で扶養控除が認められるポイントのまとめ

以上の内容から、子と別れた親でも扶養控除の申告が認められる基本的な要件は、

・その支払いが養育費であること

・継続的な支払い形態をとること

です。

後に相手から無関係な支払いを「これは養育費だ」と主張されないように、離婚時には、何の費用をいくら支払うかを具体的に取り決め、その内容を離婚協議書で記録しておきましょう。

ただし。この離婚協議書の内容に不備があると、後のトラブル要因になってしまいます。

離婚協議書の作成は必ず一度、専門家に相談しましょう。

離婚協議書の内容を公正証書とする際も同様です。

もし重複したら

もし税務署から扶養が重複している旨の通知(扶養是正の通知)が届いた場合は、双方で話し合い、扶養控除はどちらか一方にしなければなりません。

その場合、扶養控除を取りやめる方は、税務署に対して「修正申告」を行います。

相手が突然に扶養控除を申告した場合には、以下の2パターンが考えられます。

・扶養控除が重複できないことを知らない場合

・自分にも扶養控除を行う権利があると知り、それを主張してきた場合

前者の場合、事実を伝えれば納得するケースもあるでしょう。

後者の場合、離婚協議書や調停調書等で取り決めがない場合は、残念ながら一から話し合うしかありません。

「同居している親が申告するのが当たり前でしょ!」という理屈では、相手はそれを百も承知で行動しているわけですから、おそらく簡単に理解は得られないでしょう。

かえって意固地にさせるおそれもあります。

それに中には、相場を超える養育費の条件を受け容れ、自分の私生活が苦しくても支払う親もいるでしょうし、その立場でなければわからない思いがあるとも思います。

相手の言い分を聞き入れながらも、「子どもの生活を少しでも良くするために、一緒に暮らしている自分が扶養控除を申告したい」ということを丁寧に伝える必要があります。

しかし、子どもが就職したり成人した後は、養育費を支払わなくなるケースが多いですよね。

相手が扶養控除を申告できる期間は、養育費を支払う間だけです。

今後も円満に養育費を受け取ることを思えば、16歳からの数年間だけ、権利を譲ってもいいのかも知れません。




まとめ 離婚して子と別れた親は扶養控除を申告できる?重複した時はどうすればいい?

まとめると、

・養育費を支払っている別居の親も申告できる

・どちらか一方しか申告できず、重複は認められない

ということになります。

そうなると「そもそも扶養控除って申告するとどのくらいお得なのか」ということが気になってきますよね。

ご自身がどのくらい扶養控除で節税できるかを知っておくことは大切なことです。

こちらの記事で、扶養控除の目安をつける計算方法を紹介しているので、ぜひご覧ください。

扶養控除はどのくらい節税効果がある?目安を計算するためのたった2つのポイント

離婚してもやっていける人の5つの条件







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